光と影がつくる「伝統工芸的いやし空間」

「和ろうそく×八女すだれ」精神的いやし空間

2019年4月29日、弊社(鹿田産業)は福岡県八女市黒木町笠原のゲストハウス「天空の茶屋敷」にて「和ろうそく」と「八女すだれ」のコラボイベント「いやしの森」に出店いたしました。「いやしの森」は後継者不足や日本文化の衰退に伴う存続の危機が叫ばれる伝統工芸「和ろうそく」と「八女すだれ」の素晴らしさを知ってもらおうと企画されました。今回は「和ろうそく」と「八女すだれ」がつくる「光」と「影」をデザインし「精神的いやし空間」を演出しました。

人と地域とあなたをつなぐ里山ゲストハウス「天空の茶屋敷」

イベント会場となった「天空の茶屋敷」は福岡県八女市黒木町笠原地区にあるゲストハウスです。この笠原地区は「八女茶」発祥の地とされ、現在も周辺には茶畑が広がっています。自然に囲まれた古民家のゲストハウス「天空の茶屋敷」は、今回の「伝統工芸的いやし空間」をつくる最高の舞台となりました。

山奥にあるにも関わらず国内外より数多くの宿泊者が訪れる「天空の茶屋敷」。様々なルーツを持つ人々が、その場で繋がり、コミュニケーションをとり、共に過ごす時間。山と自然以外に「何もない」場所。この場所には大事な「何か」があるのでしょう。

古き良き日本の時間が流れる場所。自然とともに育んできた暮らし。外では鶏が鳴きながら逞しく歩いています。

玄関を入ると土間が続き、共有スペースのキッチン。ご飯も竈(かまど)で炊き上げます。昼食に頂きましたが、普段のご飯よりも格別に美味しくおかずもいらないほどでした。天然水と竈で炊き上げるご飯は、現代ではなかなか味わえない贅沢な食事。

「天空の茶屋敷」の名の通り、こちらでは無農薬栽培の「八女茶」の販売もされています。あのウルグアイのホセムヒカ元大統領に宿主が直接献上した「八女茶」を味わってみてはいかがでしょうか?また、こちらでは農業作業応援隊の受入れも行っています。限界集落地である山間部や茶畑を守る活動はこれから農業をやってみたい若者や里山でゆっくり暮らしたい方にとって良い機会になるのではないでしょうか?

ちょっとした棚や小物にも古き良き日本の暮らしが感じられます。目まぐるしい現代の生活の中での時間の流れを忘れて、ゆっくりと過ごしたくなるのも「天空の茶屋敷」の魅力なのかもしれません。

階段を上っていくと屋根裏部屋があります。屋敷を支える立派な梁を利用したハンモック。座ればインスピレーションが降りてきて、新しいアイデアが浮かびそうな窓際にぽつんと置かれたデスク。静かに一人の時間を過ごしたくなるような秘密基地が、そこには広がっていました。

そんな素敵な空間が広がる古民家「天空の茶屋敷」

この大広間が今回の舞台となります。

「八女」と「和ろうそく」の歴史

「和ろうそく」の原料となるのは「櫨(ハゼ)」というウルシ科ウルシ属の落葉小高木です。「櫨(ハゼ)」は、古くから「八女」地域でも栽培が盛んに行われ、その昔、農閑散期に櫨の実を収穫し、この実の油分「櫨蝋」を抽出、精製していました。「櫨蝋」は「ジャパンワックス」とも呼ばれ、古くから和ろうそくだけでなく、木製家具や建具の艶出し剤、膏薬(こうやく)や口紅などの原料として江戸時代から幅広く使われていました。現在では安価な石油製品や蜜蝋に押され、「和ろうそく」は日本国内数社でしか生産されていません。「和ろうそく」の芯は、和紙を棒に巻きつけイ草から採れる燈芯を一本、一本丁寧に巻いて作られています。棒に巻きつけることによって芯の上まで空洞ができ、火をつけると穴から空気を取り入れて、火を吸引することから、炎がゆらゆらと大きく揺らぎ、 消えにくいのが特徴です。この炎の揺らぎは「1/fの揺らぎ」といわれる、小川のせせらぎやそよ風、星の瞬き、蛍の光など、自然現象に見られるものと同じで人が心地よく感じるリズムを持っています。人の鼓動も同じリズムを刻むことから、このような刺激を受けると、人は快適に感じると言われています。

今回はこの「1/fの揺らぎ」の癒し効果を「八女すだれ」がつくる艶やかな空間とともに楽しんでもらえるよう「いやし空間」をセッティングしました。

「和ろうそく」の炎をやさしくろ過する「八女すだれ」

「天空の茶屋敷」の大広間をいやし空間へ。

「八女すだれ」は掛けるだけでその場の空気を変える。

「空間」を仕切り、特別な「場」をつくる。

「心」を通し「場」をつなぐ。

そして「和ろうそく」の力強い炎をやさしくろ過する。

「光」を通しながら人の「心」へ浸透していく。

ふたつの伝統工芸がつくる「精神的いやし空間」

 

「八女すだれ」つくる「神聖な空間」

「八女すだれ」は「神界」と「俗界」を隔てる「結界」の役割を持つ「御翠簾(おみす)」にルーツがあります。いわば「神聖な空間」をつくる役割があるのです。その意味を感じたのか、「和ろうそく」と「八女すだれ」がつくるこの空間は「精神」と向き合う「場」となりました。ヨガや瞑想には最適の空間となったようです。

「八女すだれ」で囲まれた大広間の向かいの縁側では「リラクゼーションマッサージ」が行われていました。参加者は普段の疲れを和らげるマッサージに寝入るようにリラックス。窓から外を見れば山々の緑の景色が広がり、精神的にもいやされたことでしょう。

大広間からすだれ越しにみる様子からもリラックスし、和んでいる風景が覗えます。施術者もマッサージをしながら、癒されているようにもみえます。すだれの透け感が程よい距離間をつくったのでしょう。マッサージをしながらこの自然の風景の中で、ふと回帰し、物思いに耽る。そんな場面もあったのではないでしょうか?

大広間ではビオラの演奏会も行われました。「伝統工芸的いやし空間」の中での「演奏会」は非日常の贅沢な時間となりました。ビオラが奏でる旋律と、この空間の醸し出す雰囲気は、この時、この場にしかない「特別」なモノになったに違いありません。演奏を聴きながらのマッサージも格別だったことでしょう。

 

「和」への原点回帰、自然と調和する日本の暮らし

「天空の茶屋敷」には自然と調和し生活してきた本来の日本の暮らしがあります。

「個」を尊重しながらも「規律」を重んじ「共同体」を形成する。

自然と共に生きていくために「人」と「人」が助け合う「和」の文化。

「八女すだれ」は「空間」つくり「心」を通し「場」をつなぐ。

「人」と「人」、「人」と「自然」をつなぐ「和」の文化を表す「八女すだれ」

人と地域とあなたをつなぐ里山ゲストハウス「天空の茶屋敷」

今回の「和ろうそく」と「八女すだれ」のコラボイベント「いやしの森」

「今」と「昔」の日本をみつめる良い機会になったのではないでしょうか?

宿主はすだれ越しになに思ふ?